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信号無視が原因の交通事故での証拠~相手の信号無視を証明する方法

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はじめに

交通事故では双方の車がどのように動いていた(または動いていなかった)かの証拠が非常に重要です。

とくに、信号のある交差点での事故で、相手と言い分が食い違う場合には、証拠の有無がものを言います。

信号のある交差点というのは事故の良く起きるポイントでもあるのですが、このような交通事故において、双方の車両の運転手が、「自分の側の信号は青信号だった」と主張することも珍しくありません。
その場合、どちらの言い分が正しいかは、証拠によって決まります。

信号無視

当事者の一方が信号無視をした場合の過失割合

(1)過失割合の決め方

信号のある交差点での事故の場合、どちらの信号が何色だったかによって、「過失割合」が大きく異なり、「過失割合」によって賠償金額も大きく異なります。

分かりやすく言うと、赤信号を無視して交差点に進入した側が落ち度が大きいので「過失割合」も大きくなるのです。

信号のある交差点の事故に限らず、交通事故における当事者双方の過失割合は、事故の状況毎にパターン分けされ、それぞれのパターン毎に、これまでの裁判例を参考にした基本的な過失割合とそれに対する代表的な修正要素が定められています。

以下では、代表的なパターンでの過失割合を見ていきたいと思います。

 

(2)信号機のある交差点における出会い頭の衝突事故

信号機にある交差点における直進車同士の衝突は、双方が信号に従っていれば通常は起こることはなく、いずれか一方が信号無視をしたり、見切り発車をしたりすることで発生します。

そして、一方が青信号の直進車(A)、他方が赤信号の直進車(B)であった場合、基本的な過失割合はA:B=0:100とされています。

一方が黄信号の直進車(A)、他方が赤信号の直進車(B)であった場合は、基本的な過失割合はA:B=20:80とされています。

双方ともに赤信号の直進車であった場合は、基本的な過失割合はA:B=50:50とされています。

 

(3)信号機のある交差点における右折車と直進車の衝突事故

交差点において、同一道路の右折車と直進車が衝突するケースは、交通事故の中でもかなり多いケースの一つです。

このケースにおいては、一般的に右折車の過失が大きいことから、信号のない交差点の場合は、右折車:直進車=80:20、信号のある交差点の場合は、双方が青信号の場合に右折車:直進車=80:20というように基本的過失割合が定められています。

しかし、信号が黄信号に変わった場合、直進車は停止しなければならないのに、そのまま交差点に進入し、青信号で進入していた右折車と衝突した場合は、直進車の過失が大きくなり、右折車:直進車=30:70となります。

直進車が赤信号で交差点に進入した場合は、青信号で進入していた右折車との過失が、右折車:直進車=10:90とされています。

 

交通事故の裁判における立証責任

さて、過失割合がわかると、自分の信号が何色で、相手が何色だったか、主張して損害賠償額を交渉していくことになります。しかし、それぞれの信号の色についての言い分に食い違いがある場合には、相手方が信号無視をしていたことを証明する必要が生じます。

一般に、交通事故発生時の状況について、事故の当事者双方の言い分が食い違う場合は、最終的には裁判で解決することになります。そして、裁判において、最も大切なのは、相手方の過失は、それを主張する方が立証(証拠で証明すること)しなければならない、ということです。

つまり、相手方が信号無視をしていたということは、それを主張する側が証拠をもって証明しなければならず、証明できなかった場合は、相手方が信号無視をしていなかったという前提で過失割合が判断されるということです。これを立証責任といいます。

 

信号無視の証明方法

(1)ドライブレコーダーの映像

最近ではドライブレコーダーの普及に伴い、その映像が交通事故の交渉や裁判において大きな影響を与えるようになってきました。

以前は、交通事故が発生した状況を記録した証拠はなく、事故後の状況から推認するしかなかったのですが、ドライブレコーダーに保存されている、まさに事故の発生当時の映像を検証することができるようになりました。

そのため、相手方が信号無視をしていた(自分の側の信号が青であった)ことの証明は容易になりました。もちろん逆もしかりで、自分が信号無視をしていた場合には、その証拠もばっちり残ってしまいます。

 

(2)信号周期表

信号が青→黄→赤と一定時間で変わっていくことを「信号周期」といいます。

この信号周期は、交差点ごとに、交通量や歩行者の横断時間等を考慮して決められています。

交通事故発生当時における、信号周期を調べることで、相手の供述の矛盾を突くことが可能な場合があります。

例えば、相手方が、「A交差点、B交差点を青信号で、時速40km程度で直進し、その青信号でC交差点に進入したところ、左方からC交差点に進入してきた車両と衝突した。自分は青信号で進入したから、相手は赤信号であったはずである」と主張しているとします。

このような場合に、交通事故が発生した当日の、発生した時刻におけるA交差点、B交差点及びC交差点の信号周期を調べることで、時速40km程度で、A交差点を青信号で通過した車両が、B交差点を超えてC交差点に差し掛かったとき、C交差点の信号が青であったかどうか等を距離や速度から計算し信号周期と照らし合わせることで、相手方の供述が真実かどうかを検証することができるのです。

信号周期は、情報公開条例に基づき、各都道府県の警察本部等に対して信号周期表の開示を求めるか、弁護士に依頼して弁護士法23条の2に基づく照会を行うことで調べることが可能です。

 

(3)警察が作成した実況見分調書、供述調書

交通事故の発生直後に警察が行った実況見分の結果を記載した実況見分調書も、裁判における証明の際に参考になる資料です。

実況見分調書には、事故直後の車両の位置や、破損状況等が記載されています。

また、実況見分調書やそれとともに作成された供述調書には、事故直後の双方の供述(言い分)が記載されています。

裁判になって事故当時と違う主張をし始める者もいますし、事故から時間が経つと記憶も曖昧になってくることから、事故直後の供述内容を確認することは大切です。

 

まとめ

交通事故では、一般的に証拠が重要ですが、相手が信号無視をしているような場合で、かつ相手がそれを認めていないようなときには、証拠が非常に重要です。証拠を集めて自分の言い分が正しいと認めてもらうことは、十分な知識がないと難しいこともあるので、そのような場合には弁護士に相談してみることをお勧めします。

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