後遺障害が無事認定され、〇級という結果を受けった場合、今後どうなるのか、どのような補償が受けられるのかということが気になってきます。
そこで、後遺障害が認定されたことによって、どれぐらい賠償額が増えるのかご説明します。
後遺障害認定された場合、認定されていない場合とは違い
①後遺障害慰謝料
③逸失利益
が請求できることになります。
後遺障害慰謝料というのは、後遺障害が残ったこと自体への慰謝料のことをいいます。
逸失利益とは、後遺障害が残ったことにより、これまで100%の力で今の収入を得ていたのが、今後は例えば70%の力しか発揮できない状態になってしまった場合には、今の給料の70%分しか稼げないということになり、失われた30%分の給料分を67歳まで賠償しろ、というものです。
後遺障害慰謝料は、等級によって、金額が定型化されています。多少上限することはありますが、基本的には以下の目安を参考にします。
なお、後遺障害慰謝料の基準には、自賠責基準と裁判基準の2種類があり、弁護士に依頼した場合は、高額の裁判基準やこれに近い金額となります。
|
自賠責基準 | 裁判基準 |
1級 |
1100万円 | 2800万円 |
2級 |
958万円 | 2370万円 |
3級 |
829万円 |
1990万円 |
4級 |
712万円 |
1670万円 |
5級 | 599万円 |
1400万円 |
6級 |
498万円 |
1180万円 |
7級 | 409万円 |
1000万円 |
|
自賠責基準 | 裁判基準 |
8級 |
324万円 |
830万円 |
9級 |
245万円 |
690万円 |
10級 |
187万円 |
550万円 |
11級 |
135万円 |
420万円 |
12級 |
93万円 |
290万円 |
13級 |
57万円 |
180万円 |
14級 | 32万円 |
110万円 |
逸失利益の計算方法の方法についてご説明します。
一般的な説明としては、以下の計算式になります。
①収入額×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間に応じた数字
となります。
①について
会社員の場合は、源泉徴収票を見て判断することになります。
源泉徴収票の「支払金額」の欄が収入額になります。つまり、手取給料ではなく、税金等が引かれる前の額面を基準にすることになります。
②について
労働能力喪失率は、後遺障害の等級によって決まっています。具体的な症状によって、変更がある場合もありますが、基本的には、以下のとおりとなります。
等級 |
労働能力喪失率 | 等 | 労働能力喪失率 |
1級 |
100% | 8級 | 45% |
2級 |
100% | 9級 | 35% |
3級 |
100% | 10級 | 27% |
4級 | 92% | 11級 |
20% |
5級 | 79% | 12級 |
14% |
6級 | 67% | 13級 |
9% |
7級 | 56% | 14級 |
5% |
③について
労働能力喪失期間に応じた数字というのは、単純に67歳までの期間の数字というわけではありません。本来であれば、給料は毎月支給されるものですが、損害賠償請求の場合、一括して支払いを請求することになりますので、先払いを受けるのと同様になります。そのため、利息の計算が必要になります。
なお、通常は67歳まで働けるだろうという前提となっていますが、18歳未満や年齢が高い場合には数字に変更がありますので、注意が必要です。
また、基準となる年齢は、交通事故に遭った時点の年齢ではなく、症状固定と判断された時点の年齢が基準となります。
以下目安をご説明します。
年齢 |
数字 | 年齢 | 数字 |
18歳 |
18.169 | 27歳 | 17.159 |
19歳 |
18.077 | 28歳 | 17.017 |
20歳 |
17.981 | 29歳 | 16.868 |
21歳 |
17.880 | 30歳 | 16.711 |
22歳 | 17.774 | 31歳 |
16.547 |
23歳 | 17.663 | 32歳 |
16.374 |
24歳 | 17.546 | 33歳 |
16.193 |
25歳 | 17.423 | 34歳 |
16.003 |
26歳 | 17.294 | 35歳 |
15.803 |
年齢 |
数字 | 年齢 | 数字 |
36歳 |
15.593 | 45歳 | 13.163 |
37歳 |
15.372 | 46歳 | 12.821 |
38歳 |
15.141 | 47歳 | 12.462 |
39歳 |
14.898 | 48歳 | 12.085 |
40歳 | 14.643 | 49歳 |
11.690 |
41歳 | 14.375 | 50歳 |
11.274 |
42歳 | 14.094 | 51歳 |
10.838 |
43歳 | 13.799 | 52歳 |
10.380 |
44歳 | 13.489 |
|
具体例
例えば、年収300万円の会社員が、30歳のときに後遺障害等級8級が認定された場合の逸失利益はどのようになるでしょうか。
収入額は年収300万円となります。
労働能力喪失率は、8級の場合45%となります。
労働能力喪失期間に応じた数字は、30歳ですので、16.711となります。
したがって、
300万円×45%×16.711
となり、
逸失利益の金額は、2255万9850円となります。
上位の後遺障害等級が認定される場合は通常重度の後遺障害が残っている場合です。したがって、今後生活の不安が強くあると思いますし、保険会社がしっかりと支払ってくれるのか不安になると思います。そのような場合は、交渉の負担を軽くするためにも弁護士までご相談下さい。
当事務所は後遺障害を含む交通事故事件に豊富な知識と経験があります。
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