交通事故に遭うと、警察署への通報、保険会社への連絡、レッカー作業等様々な事故処理が必要になります。そして、事故処理の過程において、「交通事故証明書」という言葉が何度も出てくるものと思います。そこで、交通事故証明書とはどのようなものか等ご説明します。
交通事故証明書とは、自動車安全運転センターが交通事故の発生等を公的に証明する書類のことをいいます。
※以下は、交通事故証明書がどのようなものかという写真になります。
交通事故証明書は、すべての交通事故について作成されるものではありません。以下は、交通事故証明書が作成される条件になります。
1 警察署への申告
警察署に事故報告をすることが必要になります。もし、交通事故に遭ったにもかかわらず、当事者同士の話し合いで警察署に通報しなかった場合、当然、警察は事故の発生を知ることができませんので、交通事故証明書の作成手続をすることができません。道路交通法上、交通事故が発生した場合には、警察署への通報義務が定められていますが、交通事故証明書の作成においても、通報は必須となります。
2 警察署から公安委員会への資料送付
交通事故に遭った後警察署に通報した場合、警察官が事故現場に臨場することになります。そして、事故当事者から事故状況や当事者の氏名・住所・連絡先等の聞き取りをします。
そして、その資料を自動車安全運転センターに送付することによって、自動車安全運転センターにて、交通事故証明書が作成されることになります。この警察署からの資料送付ですが、多くの場合には、あなたが警察署に診断書を提出することを待って行われます。そのため、もし、あなたが診断書を警察署に持参せず放置していると、いつまで経っても資料が自動車安全運転センターに送られず、交通事故証明書が作成されないことになってしまいます。また、仮に交通事故証明書が作成されたとしても、診断書が提出されなければ物損扱いとなるため注意が必要です。
交通事故証明書は、警察署に事故報告をしたからと言って、当然に警察署があなたに交付してくれるというものではありません。
あなた自身が手続きを行い、交通事故証明書の交付を申請しなければなりません。
交通事故証明書は、1通につき540円の費用がかかり、申請から10日~2週間程度でご自宅に郵送されてきます。
申請方法は3通りありますが、都合のよい方法で申請することになります。
1 自動車安全運転センターでの窓口申請
1つ目の方法は、自動車安全運転センターに行き、窓口で交付請求すると当日に受け取ることができます。
ただし、待ち時間が長かったり、作成が完了されていない場合は再度窓口に行かなければならないというデメリットがあります。
2 申込用紙による郵送交付申請
2つ目の方法は、申込用紙による郵送交付申請の方法です。
最寄りの警察署や交番で、「交通事故証明書申込用紙」をもらい、その後、ゆうちょ銀行にて、申込用紙を使用して手数料を支払います。申込用紙での手数料の支払いは、窓口だけではなく、ATMでも可能となっています。
3 インターネットによる交付申請
3つ目の方法は、インターネットによる交付申請の方法です。
自動車安全運転センターのホームページをご覧いただき、申込フォームに従って、申請します。(https://www.jsdc.or.jp/accident/tabid/119/Default.aspx)
では、交通事故証明書を手に入れたとして、どのような場合に、交通事故証明書を使用するのでしょうか。交通事故証明書の原本が必要なのか写しでいいのかは提出先によって異なると思いますので、個別にご確認下さい。
1 事故の存在を証明
一番重要な意味としては、事故の発生を証明する資料となることです。事故に遭った当日は、忙しく後日話し合うという約束を取り付けても、とぼけられたり、連絡が取れなくなったりすることがあります。
しかし、交通事故証明書には、当事者の氏名、住所、連絡先や事故が発生したことの記載があるので、言い逃れをすることはできませんし、逃げることもできません。
2 後遺障害の申請
もし、事故によってケガをしてしまった場合、治療にもかかわらず、後遺症が残ってしまうことがあります。例えば、痛みが残ってしまったり、腕が上がりづらくなった、ケガの跡が残ってしまったという場合です。
このような場合には、相手方の加入する自賠責保険に対して、後遺障害等級認定申請を行うことになります。後遺障害として認定されると、場合によっては数百万円単位の賠償金を得ることができます。
しかし、交通事故証明書がないと、本当に事故によって負ったケガなのか、後遺症なのかという証明ができないことになります。交通事故証明書があれば、交通事故が発生したことは証明できますので、スムーズに後遺障害等級認定申請を行うことができます。
3 保険会社に提出
交通事故によって、お怪我をされた場合や自動車が破損してしまった場合、相手方の加入する自賠責保険、任意保険に対して、保険金の請求を行うことになります。しかし、保険契約の内容として、保険金を支払うには、交通事故証明書が必要であるとされています。
したがって、保険金を受け取る場合にも、交通事故証明書が必要となります。
4 勤務先等への報告
交通事故に遭ったことにより、早退する休職する場合には、勤務先に説明しなければなりません。勤務先によっては、会社の内部規定によって交通事故証明書の提出が義務づけられていることがあります。
交通事故証明書を手に入れた場合、注意しなければならない点があります。警察官のケアレスミスや上手く事故状況等が伝わっていない場合等により、記載内容に誤りがある場合があるからです。そのような場合は、速やかに担当の警察官に連絡して修正してもらえるよう伝える必要があります。
1 人身事故がどうか、物損事故かどうか
交通事故証明書には、人身事故か物損事故なのかという記載があります。もし、お怪我をされているにもかかわらず、物損事故という記載になってい
る場合があります。このような場合には、後日、病院に行ったとしても、交通事故によるケガなのか疑われることがあります。
2 自賠責保険に加入しているのか。
相手方が任意保険に入っている場合は問題が少ないですが、任意保険に入っていない場合は、自賠責に病院代や休業損害等を請求しなければなりません。通常は、相手方が加入している自賠責保険が交通事故証明書に記載されていますが、記載がない場合には、記載漏れか自賠責保険に加入していないかどちらかを意味しますので、担当の警察官を通じて確認する必要があります。
3 事故類型が正確か
交通事故証明書には、簡単ではあるものの、事故状況が記載されます。車両相互の事故なのか、単独事故なのかということや、正面衝突か追突事故、接触事故なのか等です。もし、接触となっていれば、保険会社も治療の必要性が低いと考え、早々と治療費の支払いを打ち切ったりすることがあります。
そのため、正確に事故類型が記載されているかは重要となります。
交通事故に遭われた後は混乱されたり、動揺されたりしていて、精神的に余裕がないかと思います。しかし、交通事故証明書は、重要な資料となりますので、落ち着いていただいた段階で、誤りがないかご確認いただければと思います。
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